僕の仕事は「地域の居場所づくり」
2025年11月、兵庫県の岡本で小さな八百屋を開業します。でも正直に言うと、野菜はただのツールです。僕が本当にやりたいのは、スーパーでは絶対にできない「おせっかいな八百屋」。
「お兄ちゃん、どのトマトが美味しい?」「このキュウリ、今日のサラダにぴったりやで」「おばあちゃん、最近顔色ええな!」——そんな会話が自然に生まれる、家でも学校でもない第3の居場所。
なぜ今、個人商店なのか?
どこに行っても同じ商品、同じ陳列、同じ無機質な空間。便利だけど、なんか物足りない。私は確信しています。人は効率だけでは生きていけない。だから私は、物を売る「物販業」から、感情を動かす「サービス業」として八百屋を捉え直しました。
僕だけができる3つの価値
- 常連さんが増える喜びを共有:「初めまして」のお客様が、翌週には「いつもの」と言ってくれる。
- 昭和レトロ×令和のハイブリッド:昔の個人商店の温かさに、現代のマーケティングをプラス。
- スモールステップで大きな変化を:3年前、うつ病が原因で会社を辞めたところから、「ベイビーステップ」を積み重ねて今があります。
社会人3年目の夏、精神科の診断書を握りしめてた
鉄鋼専門商社の営業マン。1億、3億の見積書をパパっと作って、でも全然実感がない。「オレ、すごいことやってるはずやけど、なんやこれ」——激務に加えて、会社の空気を読んで自分を殺す毎日。結局、うつ病になりました。3〜4ヶ月の休職。でも給料もらい続けるのもしんどくて、「もう、ええわ」——次の仕事のアテもないまま、退職届を出しました。
ライフのアルバイト募集、たまたま見つけて
「地域のために働きたい」——そんな時、ライフ(スーパー)のアルバイト募集を見つけました。農産部門が空いてるって言われて、「まあ、やってみるか」って。
トマトを陳列してたら、「お兄ちゃん、これどのトマトが美味しい?」——正直知識がないので、何もわかりません。でも一生懸命選んで渡したら、次に来た時、「お兄ちゃん、あのトマト美味しかったで!」とお客さんが言ってくれたことが、すごく嬉しかったんです。「これやわ」——この瞬間の感覚は、今でも忘れることはできません。
朝はライフ、昼から八百屋。手取り12〜13万の生活
甲子園の「噂の八百屋」。朝8時から12時まではライフ。14時から夜まで八百屋の仕事でした。ダブルワークでも手取り12〜13万しかありません。そんな中、前年度の税金がドカンと来て、家賃払ったら「俺、何やってんねやろ」って思いました。でも、めちゃくちゃ楽しかったんです。
「浜甲子園で店長やってみいひん?」
半年ぐらい必死で働いてたら、店長から声がかかりました。2021年3月、コロナ過中でしたが、八百屋は絶好調でした。浜甲子園店では、地域密着のイベントをやりまくりました。「初めてのお使い」を八百屋でやろう!——子どもだけで買い物できたら、トマト1個プレゼント。売上には繋がりませんが、とても大事なことに気づいた瞬間でした。
2025年11月、甲南本通商店街に「紬屋青果店」オープン
物件も契約しました。店名は「紬屋青果店」。繋ぐ、紬ぐという意味を込めました。昭和レトロな時代は、商店街がめちゃくちゃ栄えていました。でも今、ちょうどみんな代替わりの時期です。若い世代が戻ってきたら、商店街は変われます。
スーパーのいいところは「そこに行けば全部揃う」こと。商店街単位でそれができたら面白いと僕は思っています。しかも、人の温かみつきです。将来的には、商店街単位でフランチャイズ展開したいです。八百屋、肉屋、魚屋、みんなで協力して、出来ないことはないと思います。
「会社員やめたら終わり」——違います
そう思ってる人は多いと思います。僕もそう思ってました。でも違います。やめてから、始まりました。
自分で決めて、自分で動いて、自分で責任取る。スモールステップの積み重ねで、気づいたらここまで来ていました。
一人暮らしのおばあちゃんが、誰とも話さず1日が終わる。そんな現実を変えたい。子どもたちが大人になって、「あの八百屋のお兄ちゃん、覚えてる?」って話してくれる。そんな思い出を作りたい。物を売るんじゃない、つながりを育てる。それが、僕らの世代がやるべきイノベーションやと思っています。
📍 紬屋 青果店
2025年11月オープン予定
兵庫県神戸市東灘区甲南町3丁目8-16 甲南本通商店街